トラクターにできる農作業はどんなこと?
農業用のトラクターで有名なメーカーはどこ?
農業を始めたいと考えている方は、上記のような疑問があるでしょう。
本記事では農業に使われるトラクターについて、農業未経験の方にも分かるよう解説します。
- トラクターで行う農作業が分かる
- 農業トラクターで有名な4大メーカーが知れる
- 農業トラクターに必要な運転免許が分かる
農業を始める前にトラクターについて理解しておくと、農業への就職を有利にできますよ。
- トラクターは現代農業に欠かせない農業機械
- トラクターは畑の耕運や種まき、草刈りなどができる
- 国内有名メーカーはヤンマー・クボタ・イセキ・三菱
- トラクターを運転するには大型特殊免許が必須
- トラクターは新車で買うと1,000万円以上する
ライター:相馬はじめ
- 農業法人に8年間勤務
- 現場リーダー、SNS運用担当
- 得意な作物:キャベツ・白菜・じゃがいも・米・麦・そば
農業用のトラクターとは?
農業用のトラクターとは、畑を耕す作業や肥料まき、収穫作業などあらゆるシーンで使用される農業機械です。
現代の農業はトラクターを使用した作物の生産が主流となっています。
農業用のトラクターがなければ畑を耕すことすらできず、作物の生産は困難になります。
トラクターの性能が発展したことにより、作物生産の効率はアップしました。
農業でトラクターが必須な作業5選
農業でトラクターが必須な作業5選は次のとおりです。
上記のように農業でトラクターが必要な作業は、畑を耕すこと以外にもさまざまあります。
ここでは、農作業にトラクターが必要な理由や実際の作業シーンを紹介していきます。
畑のロータリー
トラクターがもっとも使用される農作業は、畑のロータリーです。
畑のロータリーとは畑を耕すことを指します。
畑にロータリーをかけるタイミングでは、次のような場面になります。
- 種や苗を植える前
- 作物を収穫した後
- 畑に雑草が生えてきたとき
上記のように畑のロータリーはシーズン通して行われるため、農業にトラクターは必須です。
麦やそばの種まき
麦やそばの種まきは、トラクターでまくのが主流です。
種まきはトラクターを運転する人のみで作業できます。
一方、手間となるシーンでは、麦やそばの種を補充するときになります。
1つ15kg〜25kgある種袋を持ち上げて種まきするアタッチメントに投入するので、力が必要になりますよ。
また、麦やそばなどの穀物はトラクターや農業機械が進化したことで、生産が容易になりました。
穀物は安定して供給できる分、売値が安く生産するコストの方が高いことに頭を悩ませている農家さんは多くいます。
田んぼの代掻き(しろかき)
田んぼに水を張りトラクターを使って整地する作業を、代掻き(しろかき)といいます。
トラクターは田んぼのようにぬかるんでいる場所でも作業できます。
田植えする前に代掻きを行う理由は、次のとおりです。
- 防草対策
- 土壌の均一化
- 土に肥料を混ぜ込む
田植えする前に代掻きすることで、稲が植えやすくなり元気よく育ちます。
また、代掻きする際に使用されるアタッチメントは「ウィングハロー」という農業機械になります。
肥料の散布
トラクターは肥料の散布時にも活躍します。
トラクターを使った肥料の散布は、次のような畑で行います。
- 作物を定植する前
- 麦などの追肥作業
トラクターで肥料が散布できることにより、1つ20kgある肥料を背負って手で撒く必要がなくなりました。
また、トラクターは定速走行できるため、畑に肥料が均等にまけるのも大きなメリットです。
肥料の散布には、ニプロの「ライムソワー」が使用されていますよ。
草刈り
トラクターを使った草刈りは次のようなシーンになります。
- 農道
- 畦道(あぜみち)
- 畑、田んぼの周り
草刈機や除草剤では太刀打ちできない大きな雑草にも、トラクターなら1発で除草することが可能です。
トラクターに使用するアタッチメントは「ハンマーナイフモア」という農業機械になります。
ハンマーナイフモアは、自由自在に伸ばしたり角度を変えられたりできる草刈機となっており、土手のような斜面の草刈りも容易に行えます。
一方でトラクターは車体が大きいため、狭い場所や細い道の草刈りが苦手ですよ。
【メーカー別】農業で使われるトラクター4選
世界的にも有名な国内トラクターメーカーは、次のとおりです。
上記の中でもヤンマーとクボタは、国内農業トラクターメーカーの2大巨塔です。
イセキや三菱は高精度な自動システムを搭載する、汎用性の高いトラクターを手掛けています。
ここでは国内を代表するトラクターの詳細や特徴、おすすめポイントを紹介します。
大手メーカーのトラクターについて知っておけば、農業に携わる人との話題にもなりますよ。
ヤンマートラクター|YT488R
カテゴリ | 数値・機能 |
---|---|
全長 | 4,145mm |
全幅 | 1,875mm |
全高 | 2,730mm |
機体重量 | 3,700kg |
エンジン | 水冷4サイクル4気筒 直噴ディーゼル |
使用燃料 | ディーゼル軽油 |
燃料タンク容量 | 95L |
尿素タンク容量 | 17.5L |
タイヤサイズ | 前輪:9.5-24 後輪:12.4-38 |
- 作業に集中できる自動直進アシスト
- アクセルのみで走行できるノークラッチ
- 直感的に操作できるタッチパネルモニター
ヤンマーのトラクター「YT488R」は、最先端の農業を彷彿させるスタイリッシュなデザインをした、高機能なトラクターです。
洗練されたボディデザインのワケは、フェラーリやマセラティなどのスーパーカーを手掛けたデザイナー「奥山清行」氏が考案しているからです。
見た目だけでなく、作業性・走行性ともにトップクラスの機能を備えており、現代の農業トラクターの象徴とも言えるでしょう。
運転席はゆったり広々空間なので、長時間の作業でもストレスを感じませんよ。
イセキトラクター|TJV885
カテゴリ | 数値・機能 |
---|---|
全長 | 4,205mm |
全幅 | 1,940mm |
全高 | 2,620mm |
機体重量 | 3,650kg |
エンジン | 4気筒水冷4サイクル |
使用燃料 | ディーゼル軽油 |
燃料タンク容量 | 120L |
尿素タンク容量 | 10L |
タイヤサイズ | 前輪:9.5-24 後輪:13.6-38H |
- 燃料の消費を削減する新グリーンモード
- エンジンの回転数を最適に保つ電子ガバナ搭載
- 必要な操作が手元に集約されたオペレーションフィールド
イセキのトラクター「TJV885」は、ボディに深みのあるブルーが特徴となるトラクターです。
畑や田んぼで作業する様子では、クールな見た目とは裏腹に圧倒的な作業の効率化を実現します。
ロータリーやプラウ、プラソイラーなどの作業を容易に行えるので、畑のコンディションはオールシーズン最適に保てます。
イセキのTJVシリーズには、タイヤをクローラーにチェンジできるタイプもあり、雪や泥地でも活躍するトラクターですよ。
三菱トラクター|GV/GVK800
カテゴリ | 数値・機能 |
---|---|
全長 | 4,035mm |
全幅 | 1,930mm |
全高 | 2,570mm |
機体重量 | 3,310kg |
エンジン | 水冷4サイクル4気筒 立形ディーゼル |
使用燃料 | ディーゼル軽油 |
燃料タンク容量 | 120L |
尿素タンク容量 | 12.9L |
タイヤサイズ | 前輪:9.5-24 後輪:16.9-30 |
- マニュアル・オートマチックを搭載したダブルミッション
- 視界を見渡せ作業ストレスを低減するスーパービューキャビン
- 安定した操作性を実現するハイスペックな自動制御
三菱のトラクター「GV/GVK800」は、畑や田んぼのコンディションに左右されず、スムーズな農作業を実現するトラクターです。
高精度な自動制御システムを搭載するため、畑の土質や傾斜などで変化する負荷に対しても、最適な作業バランスに自動調整してくれます。
自分で細かな調整をする手間がなくなり作業に没頭できるので、業務効率の向上につながります。
圃場(ほじょう)ごとに神経をすり減らしていた作業が、三菱のトラクターGV/GVK800ならストレスフリーになるでしょう。
クボタトラクター|M860W
カテゴリ | 数値・機能 |
---|---|
全長 | 3,950mm |
全幅 | 1,980mm |
全高 | 2,610mm |
機体重量 | 3,180kg |
エンジン | 水冷4サイクル4気筒 立形ディーゼル |
使用燃料 | ディーゼル軽油 |
燃料タンク容量 | 105L |
尿素タンク容量 | 17.5L |
タイヤサイズ | 前輪:11.2-24 後輪:13.6-38H |
- 830万円から購入できるリーズナブルトラクター
- スムーズな旋回を容易にする倍速ターン
- 傾きを自動制御するモンロー機能
クボタのトラクター「M860W」は、最新トラクターの中でもリーズナブルな価格での提供を実現したトラクターです。
トラクターが進化するとともに価格も連動して上がるなか、クボタのトラクターM860Wは830万円から購入できます。
価格はリーズナブルでありながらも、ハイスペックな走行性・作業性を実現しています。
畑でのロータリー作業から、ぬかるんでいる田んぼでのトラクター作業も容易です。
大型トラクターの購入を検討する際は、必ず選択肢に入る1台となるでしょう。
農業のトラクターに関する5つのQ&A
農業のトラクターによくある質問は、次のとおりです。
トラクターによくある質問では、操作の難しさや必要な免許、本体価格などについて聞かれることが多くあります。
ここでは、質問へ回答しながら農業を始める前に知っておきたい情報もお伝えするので、参考にしてください。
トラクターの操作は難しい?
現代のトラクターは、簡単に操作・運転できるように作られています。
トラクターを初めて運転するときは戸惑いますが、回数を重ねるごとに乗用車と同じように扱えます。
トラクターの作業は、基本前を向いて操作するだけですよ。
また、トラクターを使った作業に慣れるという点では、苦戦することもあるでしょう。
トラクターの運転に必要な免許は?
トラクターの運転に必要な免許は、次のとおりです。
- 大型特殊運転免許
- 農耕車限定大型特殊運転免許
上記の免許のどちらかを取得していれば、トラクターは運転できます。
免許が無い場合、農耕車限定大型特殊免許なら費用も安く短期間で取得可能です。
農耕車限定大型特殊免許については「農業始める前に取得したい免許5選!」の記事で紹介しているので、あわせてご覧ください。
また、トラクターを使って農作業するには「けん引免許」も必要になります。
中古のトラクターはどこで購入できる?
中古トラクターは、中古農機具専門店で購入できます。
また、次のようなところでも中古トラクターは、購入可能です。
- JA(農協)
- ジモティー
- オークションサイト
JAでも中古トラクターを取り扱うケースがあるので、地元のJAとつながりがある方は相談するのも1つの手です。
個人間の売買となるジモティーは保証面が弱いですが、安い価格で中古トラクターが購入できる可能性があります。
農機具専門のオークションサイトでは、相場感をチェックするのにおすすめですよ。
国内トラクターの3大メーカーはどこ?
国内3大トラクターメーカーは、次のとおりです。
- ヤンマー
- クボタ
- イセキ
クボタは創業当初「鋳物製造」を中心に行っていましたが、徐々に農機具の製造にシフトチェンジし、今では世界からも一目おかれるほどにまで成長しました。
ヤンマーは、世界各地に販売拠点やサービス拠点を展開しており、グローバルな事業に取り組んでいます。
イセキはトラクター以外にも、田植え機やコンバインの開発に重点を置いたことで、米を主食とする日本の食糧事情を支えました。
トラクターの新車価格の相場はいくら?
2024年における新車トラクター(80馬力)の相場は「1,000万円〜」となっています。
購入には本体価格以外にも、オプションの追加や輸送費などがかかるため、トータル1,000万円は超えてくるでしょう。
また、トラクターの購入には補助金が使えるケースもあるので、該当する制度を次に掲載しておきます。
上記の事業はトラクターだけでなく農業に係る機械も該当するので、詳細を知りたい方は、農林水産省の公式サイトをチェックしてみましょう。
【まとめ】農業始めるならトラクターを知る
今回は、農業で使われるトラクターを紹介しました。
効率的な農作業を実現するには、トラクターの存在が必要不可欠なことが分かります。
また、トラクターで有名な4大メーカーも取り上げ、特徴やおすすめポイントも解説しました。
農業を始める前にトラクターの作業や基礎知識を知っておけば、農業法人へ就職するときにも有利になります。
農業を始めたいと思っている方は、トラクターについて触れておきましょう。