キャベツ農家の仕事は大変?
キャベツ農家に休みはある?
この記事を読めば、以下のことがわかります。
- キャベツ農家の業務を把握できる
- キャベツ農家に必要なアイテムがわかる
- キャベツ農家のオフシーズンについても知れる
農業を始めたい人から、農家はどんな仕事をしているのかなどを知りたい人は必見の内容です。

20ヘクタールの規模でキャベツ栽培していた経験をもとにお伝えします。
- キャベツの種まきは自動播種機が一般的
- キャベツを植える畑にはマルチシート・トンネルが必要
- キャベツの定植は手作業が主流
- キャベツを定植したあとは除草作業が欠かせない
- キャベツの収穫はクローラーが大活躍
- キャベツ農家のオフシーズンは2月〜4月
- キャベツの生産日本一は愛知県


ライター:相馬はじめ
- 農業法人に8年間勤務
- 現場リーダー、SNS運用担当
- 得意な作物:キャベツ・白菜・じゃがいも・米・麦・そば
キャベツ農家の仕事|収穫までの流れ


キャベツ農家がキャベツを収穫するまでの流れは、以下のとおりです。
1つずつ解説します。
キャベツの種まき
キャベツ栽培は種まきから始まります。キャベツ農家が種まきに使うアイテムは、以下のとおりです。
- 肥料
- 培養土
- キャベツの種
- セルトレイ(※)
- 自動播種機
キャベツ農家の多くは、セルトレイへの土入れから水やり、種の配置を一貫して行える「自動播種機」を使って種まきします。


引用:株式会社スズテック
自動播種機を使った種まき作業の流れは、次のようになります。
キャベツ種まきの流れ |
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1:自動播種機でキャベツの種をまく |
2:種をまいたセルトレイをパレットの上に積み重ねていく |
3:パレットがセルトレイで埋め尽くされたらフォークリフトでビニールハウスまで運ぶ |
4:ビニールハウスのなかにセルトレイを並べる |
5:セルトレイを並べ終えたら保温するビニールトンネルを作って終了 |
上記の工程を終えたら、キャベツの生育をチェックしながら芽が出るのを待ちます。芽が出たら適宜水やりをして、苗を育てていきます。



苗の生育には定期的な消毒(殺菌・殺虫剤)も欠かせません。
畑の準備|トンネル作り・マルチシート貼り
種まきしてキャベツの苗を育てている裏で、キャベツを植えるための畑を準備します。
キャベツを植える前の畑には、マルチシートを貼ったりビニールトンネルを作ったりするといった作業が必須です。


マルチシート貼りからビニールトンネルを作るまでの作業内容は、以下のとおりです。
ステップ1 二人一組となり、ヒモを使って畑の中にラインを引く | ![]() ![]() |
ステップ2 ラインを目印に、機械を使ってマルチシートを貼る | ![]() ![]() |
ステップ3 霜や強風からキャベツを守る不織布(パオパオ)をマルチシートの上に設置 | ![]() ![]() |
ステップ4 園芸用パイプを等間隔で設置する | ![]() ![]() |
ステップ5 トンネル専用のビニールを園芸用パイプの上にかける | ![]() ![]() |
ステップ6 ビニールと園芸用パイプを固定するアイテム「パッカー」を使って留めていく | ![]() ![]() |
ステップ7 PPテープを使ってビニールトンネル全体を固定する | ![]() ![]() |



マルチシート貼り・ビニールトンネル作りは、春のキャベツ栽培に欠かせない工程になります。
キャベツの定植|マルチシートへ定植する方法
キャベツが植えられるまでに育ったら、マルチシートやトンネルを作った畑に定植します。
マルチシートへのキャベツ定植の流れは、以下のとおりです。
- キャベツの苗が入ったセルトレイを畑に等間隔に配る
- キャベツの苗をマルチシートの穴に入れて土をかける
- キャベツを植えたらマルチシートに不織布(パオパオ)をかける
キャベツを植えた後にかける不織布は、キャベツの苗を霜や強風から守るのに重要なアイテムになります。



マルチシートやトンネルへ植える時は、座りながら地面を移動できる椅子に乗りながら作業します。


キャベツ畑の管理|トンネルの開け閉め・除草作業
キャベツの定植が終われば、トンネルの開け閉め・除草作業をしていきます。
トンネルの開け閉め
昼間の時間帯はトンネル内の温度が高くなるため、朝から夕方に開け閉めをしてトンネル内の温度を調節します。
トンネル内が暑すぎるとキャベツの苗が焼けてしまい、生育を阻害し最悪の場合、収穫までいたらないことも。
トンネルを開け閉めする時間帯は、以下のとおりです。
- 開ける時間:6時〜7時
- 閉める時間:16時〜17時
除草作業・わき芽取り
トンネル内は暖かくキャベツが育つ一方、雑草も生えていくるため除草作業が必須です。
加えてキャベツは「わき芽」が発生しやすいので、気づいたら素早く排除します。
わき芽を放置するとキャベツ内の栄養が分散してしまい、うまく結球しません。わき芽取りは除草とともに重要な作業です。



草が多い畑では、立ち鎌を使って除草します。
キャベツ農家の仕事|収穫から出荷までの流れ


キャベツ農家の収穫から出荷するまでの過程を紹介します。
トンネル・マルチシートで栽培したキャベツを収穫する手順から運搬、出荷するまでの流れを具体的にお伝えします。
キャベツ収穫|トンネル・マルチシート栽培の収穫
キャベツを収穫する際は、以下の順番で行います。
- トンネル栽培
- マルチシート栽培
トンネル・マルチシートで栽培したキャベツは、生育がバラバラなことが多く、2回に分けて収穫することも珍しくありません。



L玉(流通規格)以上でないと出荷できないので、小さいキャベツは残して、後日収穫します。
収穫にはキャタピラがついた台車「クローラー」を使ってキャベツを運び、トラックへ積み込みます。


引用:有限会社河島農具製作所
キャベツ収穫の具体的な手順は、以下のとおりです。
- 畝に入りL玉サイズ以上のキャベツ切る
- ダンボールに詰める
- キャベツを詰めたダンボールをクローラーの上に積む
- クローラーで畑の外まで運びトラックに積み替える



クローラーは、足場がぬかるんでいる畑でも動いてくれるのが強みです。
キャベツの運搬
収穫したキャベツをトラックに積み終えたら、取引先へ運搬・出荷します。
キャベツが詰まったダンボールをトラックで運搬するときは、以下のアイテムを使って固定します。
- 木の板
- ロープ
木の板をダンボールの上においたら、ロープを使って南京縛りで固定します。
木の板とロープでダンボールを固定したら、取引先へ運搬します。
特にトラックでキャベツを運搬する際に気をつけるのは、曲がる時です。



減速せず曲がってしまうと、積んでいるキャベツは確実に荷崩れを起こします。
キャベツを運搬するときは安全運転に加え、後続車や対向車にも気を配れる運転スキルが求められます。
キャベツの出荷
取引先に到着したらトラックの荷ほどきをし、フォークリフトを使って下ろします。
フォークリフトでキャベツを下ろすときは、崩さないよう運び出すスキルが必須です。



取引先によっては下ろしてくれるケースもあります。
トラックからキャベツを下ろしたら、これで出荷完了です。ちなみにフォークリフトの操作には運転免許が必要です。
農業で必須となる運転免許をまとめた記事もあるので、あわせてチェックしてみてください。


キャベツ農家のオフシーズンは2月〜4月


キャベツ農家のオフシーズンは、2月〜4月です。
オフシーズンの仕事内容は以下のとおりです。
- ビニールハウスの補修
- 畑や田んぼの整地作業
- トラクターなどの機械整備
ビニールハウスは経年劣化し、穴があいたり破れたりするため、オフシーズンを利用してビニールを交換します。



ビニールを交換するときは、ビニールハウスの骨組みに乗りながら交換します。
トラクターなどの機械は、オイル交換やグリスアップ(※)をし、繁忙期を迎えても不具合が起きないよう点検・整備しておきます。
そしてオフシーズンは有給休暇を使いやすい唯一のタイミングです。農業で働いていても、長期間休みを取ることは可能です。
キャベツ農家の仕事によくある質問


キャベツ農家によくある質問は、以下のとおりです。
キャベツ農家によくある質問に回答しながら、補足情報もお伝えします。
キャベツの生産地で日本一はどこですか?
キャベツの生産地で日本一は愛知県であり、なかでも豊橋市や渥美(あつみ)半島が有名です。
愛知県がキャベツの生産地で日本一になっている理由は、以下のとおりです。
- 地理的要因:温暖な気候であり、キャベツの生育環境に最適
- 環境的要因:海に面しており、ミネラルを豊富に含む海風がキャベツの生育をサポート



愛知県はキャベツ農家の研修にも多用されています。
また、日本におけるキャベツの生産地トップ5は以下のとおりです。
- 愛知県
- 群馬県
- 千葉県
- 茨城県
- 長野県
参考:キャベツの需給動向
キャベツの生産では愛知県につづき、群馬県の嬬恋村も有名な産地です。キャベツに携わるなら、愛知県と群馬県を訪れることは必須となるでしょう。
キャベツは自動で収穫できますか?
キャベツを自動で収穫できる機械は開発されており、運用する農家さんもいます。
しかし、キャベツ自動収穫機は以下の理由によりなかなか普及しません。
- 導入費用が高い
- 収穫スピードが遅い
- キャベツへの傷つき
キャベツの自動収穫機は安くても1,000万円からとなっており、個人の農家、小さな農業法人は導入するのが困難です。
収穫スピードを人と比較すると遅い点も懸念されます。
一方で人手不足が問題となる現代の農業において、最新の機器をうまく活用することは重要です。



キャベツの自動収穫機は、将来的により多くの農家にとって有効な選択肢となるかもしれません。
キャベツ農家は儲かりますか?
キャベツ農家が儲かるかは、経営者によって異なるでしょう。
キャベツは国の指定野菜の1つであり、市場価格が暴落した場合には保証金を受け取れます。
一方でキャベツ1kgあたりの単価が安く、薄利多売になりやすい野菜でもあります。



キャベツで儲かるには、ほかの農家と差別化を打ち出せるようなブランド力など必須になるでしょう。
また、農業の3Kの1つである“稼げない”についても解説しているので、あわせてチェックしてみてください。


【まとめ】キャベツ農家の仕事


キャベツ農家の仕事について紹介しました。また今回取り上げた作業工程は、春のキャベツ栽培になります。
秋のキャベツとは栽培工程が異なるので、そちらについても今後紹介します。
もしキャベツ農家の仕事に興味があるなら、まずはバイトで経験してみるといいでしょう。



農業法人へ就職する前は、レタス農家で手伝いしていました。
農業に興味あるなら、体験して自分なりの正解を導き出してみてください。




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