【農業の3Kとは?】農業に抱くイメージと答え合わせ!さまざまな【K】も紹介

農業の3K アイキャッチイラスト

農業の「3K」ってのはどういった意味なの?

農業に対するイメージからくるものなのかな……

農業の3Kとは、汚い・キツい・稼げないの頭文字をとった総称名になります。

農業は外仕事で肉体労働であることから、3Kのイメージが定着しています。

しかし、実際の農業は3つのKなんかじゃ収まらないことをご存知でしょうか?

本記事では、農業歴8年を持つ体験談をもとにさまざまな【K】についてもお伝えします。

相馬はじめ吹き出し写真

ライター:相馬はじめ

  • 農業法人に8年間勤務
  • 担当ポジション:現場リーダー
  • 得意な作物:キャベツ・白菜・じゃがいも・米・麦・そば
この記事の目次(タップでジャンプ)

農業の【3K】とは?元農業従事者が伝えるそれぞれのK

農業の3kを紹介するイラスト

農業の【3K】を務める、「汚い・キツい・稼げない」の三銃士たち。

この3Kはたしかにそうなのですが、栽培する品目や就農する農家によっても程度は変わります。

農業していた体験をもとに真実の3Kをお伝えします。

汚い

農業の3K1つ目は、汚い(Kitanai)のKです。

たしかに服が土や砂ぼこりなどでヨゴレやすく、汚くなりやすいです。

  • 手袋しても爪の間に土が入って黒くなる
  • 作業服はお風呂場で下洗いしないと洗濯機へ入れられない
  • 長靴履いてるのに仕事終わりにはなぜか土まみれの靴下になってる

仕事終わりの服をそのまま洗濯機に入れようものなら、一緒に洗うタオルや洋服は汚くしてしまいます。

洗濯してるのに。

たしかに農業は汚くなりやすいですが、過度に反応することはないでしょう。

ヨゴレたら洗えばOKですよ。

はじめ

人間関係や業界への風評も込めたうえでの“汚い”なのかに真偽については、ボクにはわかりません……

キツい

農業の3K2つ目は、キツい(Kitsui)のKです。

農業はキツいです。

スマート農業などは名ばかりで、実際の現場は体力勝負

日本人だけでなく外国人が作物を植えたり収穫したり、運んだりしているのが実情でもあります。

とてもじゃないが、日本人だけではやっていけません。

はじめ

いまの若い人はITやAI、YouTuberなどの職業に惹かれていることも関係あるでしょう。

脱サラして農業をはじめてみたけど、資金繰りがキツすぎてドロップアウトなんて事態もあります。

稼げない

農業の3K最後は、稼げない(Kasegenai)のKです。

シンプルに作物の単価が安すぎるからです。

食品の値段を上げようものなら批判の的。

はじめ

野菜の値段が少し高騰しただけでもニュースとなり、大々的に報道されます。

一方で、豊作なときは廃棄する現実など表面的なところしか広まらず、消費者からは「無料でほしい」など、農家は安く買い叩かれているのが現状です。

ブランディングやマーケティングに成功した一部農家さんは稼げるかもしれません。

だとしても、助成金や補助金なしで農家を続けるのは難しいでしょう。

農業は3Kなんかじゃ収まらない!

農業は3kじゃ収まらないことを紹介するイラスト

だれが3Kと決めたかは知らないが、3つのKだけでは収まらないのが農業。

実体験をもとにさまざまKを紹介します。

臭い

農業における臭い(Kusai)とは、汗臭いだけでなく、作物が腐ったニオイや堆肥をまくときのニオイが挙げられます。

まず汗のニオイ対策は農業でも必須です。

汗臭いひとと一緒に働くのはツライ……

自分では体臭が気にならなくても、周りの人は迷惑しているかもしれません。

はじめ

働く前やお昼休みでは、汗拭きシートや脇に塗るデオドラントを使用して、スメハラを防止しましょう。

また収穫後に残る残渣(作物の葉や茎、根っこなどの残りモノ)が腐ると臭いです。

臭さのレベルは作物によって異なります。

ちなみに水分量が多い野菜は臭いです。

  • キャベツ
  • じゃがいも
  • レタス などなど

そして農業における最大のハードルが堆肥のニオイです。

堆肥とは家畜の糞と穀物の残りカスをミックスしたもの。

堆肥まきをはじめようものなら、近隣住民からのクレームは止む負えません。

でも堆肥がなければ畑は枯れて、なにも作れなくなってしまうのです……

堆肥をいいニオイに変えられる方法さえあれば、明るい未来が訪れるかもしれません。

キケン

農業にはキケン(Kiken)な場面が多くあります。

たとえば、酷暑下での農作業

人類が耐えうるのかわからない気温での畑作業は、命を左右します

ほかには、農機具による事故

身近なモノでいえば、草刈り機による身体へのケガのおそれ。

周りに人がいないことを確認したうえで作業する必要があります。

一見安全そうなトラクター

畑の出入りや畦道から転落する可能性も少なくありません

はじめ

農業には命取りとなる作業が多いことを知っておきましょう。

腰が痛い

女性農家が腰の疲労を感じている様子
しゃがみ作業が多く腰の疲労を感じる女性農家

農業は腰(Koshi)を痛めたらおしまいの仕事です。

腰を基盤とする作業がほとんどだからです。

はじめ

「前を見るよりも地面に向かっている時間のほうが長いのではないか」と思うことすらあるほど。

腰痛持ちの人は農業で働くことはおすすめしません

毎回腰がイタイイタイといっても、だれも助けてくれないから。

一方で、腰を痛めているひと人・いない人関係なく腰を守るために、次のことを検討してみましょう。

  • 食習慣の見直し
  • 筋力トレーニング
  • 腰痛防止アイテムの活用

農業による腰痛を防ぐ方法についても解説しているので、あわせてチェックしてみてください。

風邪をひく

農業は人によって風邪(Kaze)をひきやすいことも事実。

悪天候・季節を問わず外での作業。

梅雨になれば雨に関係なく、カッパを着て収穫するのがあたりまえ。

はじめ

寒くないから体調は崩さないと思っていると、夏風邪におそわれます。

厳寒期となる12月〜2月に寒さ対策しないのは風邪一直線です。

また、風邪をひきやすいかについてはかなり個人差があるでしょう。

しょっちゅう風邪をひいてダウンする人にとって農業は、過酷な環境であることは間違いありません。

一方で、風邪をひきやすいならハウス栽培で可能な作物を選ぶのも1つです。

痒くなる

農業は体が痒くなる(Kayukunaru)ことが多い職業です。

スギ花粉やイネ科など、なんらかのアレルギーを持つ人にとって、3月や9月は地獄の月になるかもしれません。

コメの収穫では、アレルギーのない人ですらチクチクと痒くなることがあります。

不織布マスクを付けてもあまり変わらず、目・鼻・耳・喉などが痒くなります。

なので、農業をする前にどんなアレルギーを持っているのか検査して確かめておくといいでしょう

はじめ

痒くならない作物を選んで、うまく立ち回りましょう。

休日少ない

農業に対するイメージにもあるとおり、休日(Kyujitsu)は少ないです。

自営であれば休みの区別はなくなります。

雇われ農家の場合、年間休日100日に満たないこともめずらしくありません。

はじめ

生き物相手なので、目が離せず手間がかかります。

世間が土日祝と休みになる中、農家は栽培や経営に向き合わなければなりません。

また人によっては、毎日農業に追われる日々にやりがいを見いだせるでしょう。

彼女・彼氏できない

農業を仕事にすると野菜はできるものの、彼女・彼氏(Kanojo・Karesi)ができません。

出会いの場がほぼないからです。

畑にいるのは数少ない日本人と期間限定の実習生です。

はじめ

恋愛の要素を感じるところはみじんもないでしょう。

加えて休みが少ない農業となれば、日々の疲れにより、必然と人が集う場所へ行くこともメンドウになります。

しかし昨今は結婚を前提としたマッチングアプリがあり、以前よりは彼女・彼氏が作りやすい世の中になっていることは間違いないでしょう。

靴を履けない

長靴を履いて田んぼに入っているイラスト
長靴を履くことが欠かせない農作業

農業の隠れデメリット。

それも「靴を履けない(Kutsuwohakenai)」です。

農業は長靴が標準装備になります。

一見すると「なにが問題なの?」と思われますが、蒸れてしょうがないんです。

特に足汗をかく人は年中足がビシャビシャになります。

はじめ

「お風呂に長時間入ったのかい?」と思うくらい皮がふやけて剥けますよ。

長靴は水を通さないことが売りなので、通気性はまったくありません。

さらに日常で履く靴と比べて長靴は重量があるため、疲労を溜める要因にもなります

靴を履けないことには、これらのデメリットがあるのです。

少しでも快適な長靴を知りたいという人はこちら>>農業で死ぬほど働いた私が選ぶ長靴!疲れない・ワークマンで買える長靴も紹介を参考にしてみてください。

あなたにピッタリの長靴が見つかります。

草取り地獄

農業はつねに雑草との闘いです。

業務の大半が草取り地獄(Kusatorijigoku)になることもめずらしくありません。

畑をうまく管理できれば草に悩まされることはないのですが、それが難しいのです。

たとえば、天候に影響され農薬の散布が遅れるだけでも、最終的には手による草取りをする必要があります。

1日しゃがみながらの草取りは、足腰が悲鳴をあげること間違いなしです。

はじめ

ましてや連日草取りすることも普通にあります。

機械の値段が高い

農業で使われるトラクターやコンバインなどの機械(Kikai)は、値段が高価で導入するのに大変な決断を強いられます。

1台500〜1,000万円以上するトラクター。

加えてロータリーなどのアタッチメントも購入しなければ、使うことはできません。

そのため、効率的な農作業を実現するには何千万円ものお金が必要になります。

はじめ

運良く中古でゲットできるだけでも御の字です。

一方で安く買い叩かれる農業。

高価な農機具の返済に追われ、結果、赤字になることもめずらしくありません。

仮設トイレがない

畑にトイレがなく、どこで用を足したらいいのかと困っている男性農家
トイレがなく用をたすのに困る男性農家

仮設トイレ(Kasetsutoire)なんか、ほとんど普及していないのが農業。

草むらや畑のすみっコで用を足すことはあたりまえです。

つまり、女性が苦労しやすい現場であることがわかるでしょう。

トイレをガマンしながらの作業は体やメンタルに悪影響を与え、とてもじゃありません。

はじめ

トイレへ行くたびに断りをいれなければないことも負担になるでしょう。

トイレ問題は離農につながる要因としても考えられます。

木がバイーンってなる

農業は業務の中で、木がばいーん(Kigabaiin)となる場面があります。

畑は竹やぶや森にも存在します

そのような畑では、でっかい木の枝が畑に垂れていることがあるのです。

たとえば、トラクターで畑を耕すとき、木の枝を避けずに走行すると車体にひっかかります。

そして木の枝がバイーン!!となって、ミラーやボディーに傷がつくのです。

はじめ

でっかい木がある敷地は自分たちのでないことから、むやみに切ることはできません。

木のバイーンを防ぐには、地主にお願いして対処してもらうほかありません。

気象に左右される

農業は気象(Kisyou)によって、普段の業務から収益までのハードルが大きく変わります。

晴れていればスムーズに行く畑仕事ですが、雨が降ると一変。

いつもの出荷量を収穫するまでに2倍以上の手間がかかります

だからといって雨が降らないと作物は育ちません。

そんなときはバキュームカーを用意して、川から水を持ってきて畑に散布することがあります。

はじめ

農家の収益はまさに天候にすべてゆだねられているといっても過言ではありません。

農業と気象の関係は、これからも変わることはないでしょう。

決まりごとがある

地域コミュニティーと関わる男性農家
地域コミュニティーとの交流を欠かさない若手農家

農業では昔からの決まりごと(Kimarigoto)に付き合わなければならない場面があります。

地域との交流をおろそかにすると、仲間はずれにされてしまうおそれがあるからです。

新しい変革を嫌う気質があるかもわかりません。

はじめ

これから農家になる人は地域の決まりごとに従いながら、うまく立ち回れるスキルが求められるでしょう。

化学肥料は必須

農業を持続するには化学肥料(Kagakuhiryou)は必須です。

有機栽培やオーガニックが注目されることから、化学肥料を使うのは良くないといった、さまざまな考察・風潮があるかもわかりません。

実際のところ、化学肥料なしで日本の食を支えるのは現実的ではありません

化学肥料を使っていた農家が一斉に有機肥料(つまり堆肥)に切り替えるには、まず日本が“臭い”ことにガマンする必要があります。

はじめ

そして堆肥をまく労力は、化学肥料の倍以上。

ちなみに、有機肥料は化学肥料を使う栽培においても畑の土壌を生かすうえで重要です。

家族経営による問題

農業を支えるほとんどは個人農家で、家族経営(Kazokukeiei)によるいざこざを抱えているものです。

経営方針や仕事のやり方など、それぞれが違う方を向いているなんてこともあるでしょう。

雇用就農する人にいたっては、家族経営の私情に付き合わなければならないなんてことも

家族であってもお互いを尊重し合う農家であれば、従業員はついてくるかもしれません。

農業歴8年のボクが思う【農業の3K】に対する意見

農業の3Kへの筆者の意見イラスト

ここまでいろいろな【K】について紹介してきましたが、農業の3Kについて思うことは、半分は当たっているが残り半分は外れていると思います。

たしかに汚い・キツい・稼げないことはあるかと思いますが、それは農業に限ったことだけではないでしょう。

汚くなるときもあれば、そうでない日も多くあります。

キツい場面はどんな仕事にもあること。

稼げないのは安く買い叩かれる以上、変わらないかもしれません。

しかし、「農業は3Kだから…」などの理由で、一度も体験しないのは非常にもったいないです。

農業に興味があるならバイトや短期の体験、雇用就農などして、一度は農業してみてください。

はじめ

いきなり脱サラして農業を始めなくてもOKです。

はじめの野菜・花の栽培日誌

農業の3K アイキャッチイラスト

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

Xでつぶやいてます📣
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

この記事の目次(タップでジャンプ)